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新人警察官の拘束体験研修
第2章 第二部 前章 口枷
彼女たちは首をせわしく動かしていた。その声が近いのか遠いのか、見えない中で空間的な位置を把握しようとしていた。ビリビリという音に怯え、耳を手で覆いたくなる衝動に首を揺らし、仲間を助けたいという想いが胸を締め付け、手錠が外せない歯がゆさに肩が揺れてしまう。

テープの音が消え、畳の擦れる音が人の気配を遠ざけていく。その足音が近付いてくれば、彼女たちは身を縮め、俯いてしまう。

彼女は2つの違った足音が自分のすぐ側に止まったことを認識した。下を向く彼女の肩を誰かが触れた。自分の番が回ってきたと気付いた。無意識の内に上体を前に屈め、体が勝手に逃げようとする。彼女は手錠を掴まれ、アイマスクの中で目を閉じた。

彼女は上体が引かれ、「はぁ…」と力の抜けた声が出してしまう。熱を確かめるように誰かの手が額に触れ、首が強引に後ろに反らされた。胸の早鐘に合わせ、「はぁはぁ…」と荒い息が漏れ、肩を大きく揺らしていた。すぐさま口の中に布が押し込まれ、「あぅ…」と吐き出そうとすると、それは口の中で広がっていた。ビリビリというダクトテープの音が目と鼻の先でしていた。逃げ場のない状況に悲壮感が漂う表情を浮かべた。
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