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新人警察官の拘束体験研修
第4章 第三部 前章 お膳立て 
拘束具担当の講師は壁の時計を見つめ、参加者の周りを歩いていた。もうタイムリミットはとうに過ぎていた。

そこへテープ・フィルム担当の講師が、すり足で近付いてきた。耳元でひそひそ話を始めた。

「美帆(みほ)…そろそろ始めたいんだけど…指名してくれる…?」と尋ね、口元に当てていた両手を美帆の耳から離し、彼女にアイコンタクトを送った。

拘束具担当講師の美帆は、「うん…」と近くに寝転んでいた女性を指さした。そして、「ありがとう…香織(かおり)…」とテープ・フィルム担当講師の香織にひそひそ声でお礼を伝えた。

道場の入り口から拘束衣担当と、縄担当の2人も美帆のところに近付いてくる。

美帆は少し離れたところから指名した女性を注意深く見ていた。うつ伏せになった状態で、両腕を左右に揺すり、美帆が手首に施したレザーリボンの拘束を解こうとしていた。彼女の声は聞こえなかったが、柔らかく収縮性のある生地の特徴を掴んだらしく、あと数分もすれば手首の拘束を解きそうだった。
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