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新人警察官の拘束体験研修
第4章 第三部 前章 お膳立て 
次に彼女の足が付いたのは、柔らかい物の上だった。踏みしめたことのある感触だった。それが何か分からないまま、彼女は全身をその上に横にされた。

「ふぅふぅ…」と荒い息を鼻から吐き出し、何とか体を起こそうとするが、「ンン…」と声を出し、そのまま倒れこんでしまう。

バタンッ…と扉が閉まる音が聞こえ、彼女はその扉の方に体の向きを変えていた。

「拘束衣担当の里奈(りな)です…」
「縄担当の彩(あや)です…」
「フィルム担当の香織です…」

女性講師陣が矢継ぎ早に名前を伝えてきたことで、彼女は3対1になっていることを瞬時に理解した。だが自分がどこにいるのか、認識することができなかった。

彼女は道場から約50歩のところにある、旧医務室に連行されていた。机や棚などは全くなく、部屋の奥の窓にはカーテンが敷かれていた。ただ床にはマットが敷かれていた。それは体育館で保管されているマットだった。それが旧医務室の床に隙間なく、何枚も敷き詰められていた。
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