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すうぃーと すくーる らいふ
第1章 びしょ濡れの体

下校時刻を告げる曲「グリーンスリーブス」がスピーカーから流れ始めた。
外では小雨が降っている。部活動を終えた生徒たちが校門を出ていく。
生徒玄関で私は折りたたみ傘を開いた。
夏休みまで、あと一週間。雨のせいか、やけに冷える。木造校舎の屋根を穿つ雨音が響いた。校舎の外は薄暗く、外灯がポツポツとつき始めた。校庭を叩く雨が徐々に激しさを増した。
「雪ちゃん、待って」
校門を出たところで、後ろから声が追いかけてきた。幼なじみの香山詩織だった。
三年A組の副級長。黒髪をセーラー衿の肩で揃え、プリーツスカートにはしわひとつない。
幼い頃はれんげの首飾りを作ったり、ブランコを漕ぎあった仲だ。中三になっても仲の良さは変わらないと思うのに、
「今帰るところ?たまには一緒にいい?」
よそよそしい言い方をされるのはお互いに成長したせいだろうか?
「構わないけど、俊治くんを待たなくていいの?部活終わったんでしょ?」
詩織は乳白色の頬をほんのりと染めた。形のいい唇がほころぶ。
「先に帰ってろって。夏休みに入ってすぐに試合があるからじゃないかな?」
藤沢俊治は私と詩織の幼なじみで同じクラス。野球部の主将である。明朗快活な性格で、詩織はずっと好意を持っている。
「雪ちゃんこそ、一樹くんは?生徒会なんでしょ?」
「ええ、多分。私、よく知らないけど……」
宮一樹は私たちの幼なじみで、千里中学校の生徒会長。俊治と違って気難しく、四人で遊ぶこともなくなっていた。
「雪ちゃんって一樹くんと付き合ってるのよね?」
「えっ?」
信交差点まで来たところだった。まったく予期していなかった。思わず、焦ってしまう。
「付き合ってないわよ。どうして、そんな……」
「そのことだけど。お盆に花火大会があるでしょ?」
(何がその事なの?)
詩織の話は相変わらずよく飛ぶ。展開が速すぎてついていけない。
「一樹くんと行かないなら、四人で行かない?俊治くんがたまには一緒に遊ぼうって」
なにかと思ったら……ほっとしながら私は答えた。
「一樹くんに話してみるわ。嫌とは言わないと思うけど」
相変わらず、滝のように降り続ける雨。強い風に傘が飛ばされそうになりながら、私たちは家路を急いだ。
外では小雨が降っている。部活動を終えた生徒たちが校門を出ていく。
生徒玄関で私は折りたたみ傘を開いた。
夏休みまで、あと一週間。雨のせいか、やけに冷える。木造校舎の屋根を穿つ雨音が響いた。校舎の外は薄暗く、外灯がポツポツとつき始めた。校庭を叩く雨が徐々に激しさを増した。
「雪ちゃん、待って」
校門を出たところで、後ろから声が追いかけてきた。幼なじみの香山詩織だった。
三年A組の副級長。黒髪をセーラー衿の肩で揃え、プリーツスカートにはしわひとつない。
幼い頃はれんげの首飾りを作ったり、ブランコを漕ぎあった仲だ。中三になっても仲の良さは変わらないと思うのに、
「今帰るところ?たまには一緒にいい?」
よそよそしい言い方をされるのはお互いに成長したせいだろうか?
「構わないけど、俊治くんを待たなくていいの?部活終わったんでしょ?」
詩織は乳白色の頬をほんのりと染めた。形のいい唇がほころぶ。
「先に帰ってろって。夏休みに入ってすぐに試合があるからじゃないかな?」
藤沢俊治は私と詩織の幼なじみで同じクラス。野球部の主将である。明朗快活な性格で、詩織はずっと好意を持っている。
「雪ちゃんこそ、一樹くんは?生徒会なんでしょ?」
「ええ、多分。私、よく知らないけど……」
宮一樹は私たちの幼なじみで、千里中学校の生徒会長。俊治と違って気難しく、四人で遊ぶこともなくなっていた。
「雪ちゃんって一樹くんと付き合ってるのよね?」
「えっ?」
信交差点まで来たところだった。まったく予期していなかった。思わず、焦ってしまう。
「付き合ってないわよ。どうして、そんな……」
「そのことだけど。お盆に花火大会があるでしょ?」
(何がその事なの?)
詩織の話は相変わらずよく飛ぶ。展開が速すぎてついていけない。
「一樹くんと行かないなら、四人で行かない?俊治くんがたまには一緒に遊ぼうって」
なにかと思ったら……ほっとしながら私は答えた。
「一樹くんに話してみるわ。嫌とは言わないと思うけど」
相変わらず、滝のように降り続ける雨。強い風に傘が飛ばされそうになりながら、私たちは家路を急いだ。

