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魅惑~甘く溺れる心と身体。
第13章 危険な罠、ふたつの欲望の前にただ狂い咲く……。

 ――。
 ――――。

 ショッピングモールを離れて歩くこと15分程度。
 意気込んで、須藤さんから提案された賭けにふたつ返事したのはいいけれど、須藤さんは唯斗さんに中々連絡してくれなくて、須藤さんに誘われるままやって来た場所、そこは――。

 入り組んだ細道には居酒屋と立ち飲み屋さんが立ち並ぶ、そこは夜の繁華街みたいな場所。
 なんだか不穏な空気になってきたのが気になって、須藤さんにいつ唯斗さんに連絡するのかと訊ねても、「いいから、大丈夫だって」と返されるばかり。

 でもね、ここら辺りの雰囲気は陰気で、どう考えても人と待ち合わせするような所じゃないんだ。

 そして行き止まり。
 立ち止まった先に見えたのは――。
 ピンク色のペンキで塗られた壁に、白色のバルコニーが見える、ラブホテルだった。

「あのっ! ここって……」
「ラブホ、俺のダチの父親がここの経営者で、そのダチも手伝ってんだよね。ここなら上手く貸してくれそうだから」

 ああ、やっぱり須藤さんの話に賛同しなければ良かった。

 やっぱり信じてはいけない相手だったのかもしれない。
 須藤さんは唯斗さんに電話を掛ける気配がなかった。
 連れ出された先はラブホテル。

 これって、これって、やっぱり危険だよね。

「――っつ、あたしやっぱり帰ります!!」
 すごく嫌な予感がして、怖くなったあたしは踵を返す。
 元来た道を戻ろうとするんだけど、須藤さんの手が伸びてきて、あたしの左腕を掴んだ。

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