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すぅぃーと・すくーる・らいふ
第2章 圭とのデート

閑静な住宅街の隅に、そのカフェはあった。
いとこの飛鳥圭がステンドグラスのドアを開けると、カランカランと鐘が鳴った。
大正ロマンをモチーフにした内装である。
ウェートレスは市松模様の着物に小豆色の袴。足にはショートブーツ。真っ白な割烹着がこの店の制服だ。
和洋折衷のテーブルと椅子が窓際に並んでいる。
「ようこそいらっしゃいました。お好きなテーブルにどうぞ」
ウェートレスに言われ、私と圭は窓際の奥のテーブルについた。客はチラホラだ。BGMは落ち着いた和風の曲である。
注文をとったウェートレスが行ってしまうと、圭は椅子にもたれた。
「お前と会うのも卒業式以来だな」
十五歳にしては彫りの深い顔立ち。端麗な容姿で成績もトップ。千里中学校では一樹と女子の人気を二分していた。
「4月から千里高校か。よろしく頼むぜ」
千里高校と千里中学校は事実上の中高一貫教育であった。
「ええ、こちらこそ」
「なにかあったのか?だから呼び出したんだろ」
「あのね、兄のことなんだけど……」
そこへ、ブレンドコーヒーとレモンティーが運ばれてきた。私はレモンティーに角砂糖を二つ入れてスプーンで溶かした。
「詩織ちゃんとお付き合いするっていうの」
「香山詩織か?俺たちと同じクラスだった」
「ええ」
「あいつは藤沢俊治とできてなかったか?俺はそう思っていたが」
「その通りよ。なのに、兄とお付き合いするって」
ドット柄のワンピースにカーディガンを羽織った私はティーカップを両手で包んだ。
「これって、二股かけるってことでしょ?どちらも好きだからなんていい加減だと思うの」
「兄貴はそれに同意してるんだな?」
「愛してる女がいるからお互い様だと」
それを聞いた圭は薄い唇に笑みを刻んだ。そして、ミルクも砂糖も入れないコーヒーをグイッとあおった。
「その愛してる女ってのに心当たりはあるか」
「いいえ、今まで兄に好きな人がいるなんて……」
「まったく知らなかったのか?それとも、すっとぼけてんのか」
「え……」
「せっかく会ったんだ。この後、ちょっと付き合えよ。近くにいい公園がある」
いとこの飛鳥圭がステンドグラスのドアを開けると、カランカランと鐘が鳴った。
大正ロマンをモチーフにした内装である。
ウェートレスは市松模様の着物に小豆色の袴。足にはショートブーツ。真っ白な割烹着がこの店の制服だ。
和洋折衷のテーブルと椅子が窓際に並んでいる。
「ようこそいらっしゃいました。お好きなテーブルにどうぞ」
ウェートレスに言われ、私と圭は窓際の奥のテーブルについた。客はチラホラだ。BGMは落ち着いた和風の曲である。
注文をとったウェートレスが行ってしまうと、圭は椅子にもたれた。
「お前と会うのも卒業式以来だな」
十五歳にしては彫りの深い顔立ち。端麗な容姿で成績もトップ。千里中学校では一樹と女子の人気を二分していた。
「4月から千里高校か。よろしく頼むぜ」
千里高校と千里中学校は事実上の中高一貫教育であった。
「ええ、こちらこそ」
「なにかあったのか?だから呼び出したんだろ」
「あのね、兄のことなんだけど……」
そこへ、ブレンドコーヒーとレモンティーが運ばれてきた。私はレモンティーに角砂糖を二つ入れてスプーンで溶かした。
「詩織ちゃんとお付き合いするっていうの」
「香山詩織か?俺たちと同じクラスだった」
「ええ」
「あいつは藤沢俊治とできてなかったか?俺はそう思っていたが」
「その通りよ。なのに、兄とお付き合いするって」
ドット柄のワンピースにカーディガンを羽織った私はティーカップを両手で包んだ。
「これって、二股かけるってことでしょ?どちらも好きだからなんていい加減だと思うの」
「兄貴はそれに同意してるんだな?」
「愛してる女がいるからお互い様だと」
それを聞いた圭は薄い唇に笑みを刻んだ。そして、ミルクも砂糖も入れないコーヒーをグイッとあおった。
「その愛してる女ってのに心当たりはあるか」
「いいえ、今まで兄に好きな人がいるなんて……」
「まったく知らなかったのか?それとも、すっとぼけてんのか」
「え……」
「せっかく会ったんだ。この後、ちょっと付き合えよ。近くにいい公園がある」

