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銀狼
第7章 還るべき地
そうやって夢の余韻に浸りながら、横になったセレナは悲しい気持ちで胸がいっぱいになる。
依然として瞼を下ろしたまま…
彼女は今、不思議な温もりに包まれていた。
頬に当たる柔らかな感触──。
それは屋敷にあるどんな高級な絨毯( ジュウタン )よりも滑らかで、温かい。
もしここが屋敷のベッドの上で、自分を包むのがいつもの羽布団ならと…
ここ数日の出来事こそが夢だったならと…
彼女は冷静に、それを願ったに違いない。
「──…ん…」
...パチッ
けれどもそこは布団の中などではなくて。
ましてや、屋敷の絨毯の上な筈がなかった。