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銀狼
第7章 還るべき地

鳥のさえずりに導かれて目を開けたセレナは今の状況を把握した。

「──…っ」

暗い洞穴とはうって変わって光の溢れた外の景色。

崖から突き出た岩場の上に丸くなって眠っているのは、巨大な体躯の白銀の狼。


そして──彼に包まれるようにして身を横たえているのがセレナだった。



“ いつから、こうなっているの……? ”


彼女は身体を動かせられない。

この異常な事態に切迫する自分と、どこか冷静な自分が両方いた。

身をよじれない代わりに、頭の血管がドクドクと強く脈打っている。


そんな彼女の心情などつゆ知らず…

頭を乗せている狼の胸部は彼の呼吸と共にゆったりと上下していた。

毛皮ごしに伝わる鼓動は、昼寝をする動物の優雅なそれに違いない。


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