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銀狼
第2章 禁断の森
それはこの男達も例外ではない。
「無礼者…──ッ」
「おーおー、何だぁ?その態度は」
「さすがっ!お貴族様はちがうねぇ…」
彼等は近頃この地へやって来た無法者達で
そしてその首領──
つまり彼等の頭は、先日軍に捕らえられた。
──おそらく、処刑の執行までそう長い猶予は無いであろう。
「お前ぇの父親のせいで、俺らの仲間も頭も、みんな御陀仏さ。…どうしてくれんだよ」
「…っ…そんな逆恨み、わたしにされても困るわ」
「へぇ…アイツの娘だけあって、減らず口はいっちょまえじゃねぇか…」
「……ッ」
左右の男がセレナの腕を掴んで立たせる。
まだ体力の回復していない彼女は蹌踉け( ヨロケ )ながら何とか立ち上がった。
下町にひとり出掛けたセレナ…
そこで働く親しい青年に会うためであった。
しかし道中で突如現れたこの者達に拐われたのだ。
セレナはこの賊達がどういう連中かを知っていた。
“ 強盗や、殺人…。あらゆる罪をなんの躊躇もなく犯す者達── ”
父であるアルフォード侯から話は聞いている。
目の前の男を睨み付けながらも…
彼女の身体はやはり、震えずにはいられなかった。