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銀狼
第8章 雨(アマ)の鎮魂歌
“ …でもここで逃げたら、どうやって街まで降りればいいのかしら ”
そんなことを考えながら見上げた木々の、花びらの間──。
先程から所々に実っている大きな果実に目が止まった。
「美味しそう…」
そんな風に思ったりする。
だがどう考えても怪しい果実だ。
一度、銀狼に与えられた湿布用の果実を誤って口にした経験から、彼女は食べ物に関しては慎重になっていた。
“ でも結局…、昨日食べたのはパンだけだし… ”
それだけで彼女の空腹がおさまったわけではない。