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銀狼
第8章 雨(アマ)の鎮魂歌
そして銀狼は、彼女の手の内の臼桃色の果実
──もう実はなくなり今は皮が残るだけだが
それを見てふっと笑みを浮かべた。
「セリュスの実…、丸々ひとつを食べたのか」
「…っ…わたしの勝手だもの」
「別に私は構わない。……そろそろ、自覚症状が出てくると思うがな」
「……!? 」
彼の言っている意味がわからない。
が、少し嫌な予感がする──。
「……?…あっ」
自覚症状──?
確かに、言われてみれば先程から…
身体が、熱い…!
彼の言葉によって灯された不安は、セレナの身体に早くも変化をもたらし始めた。