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銀狼
第8章 雨(アマ)の鎮魂歌
「…だったら…っ、お互いを呼びあう時に、不便でしょう」
お前に理解は不可能だと言われたも同然。
納得できないセレナは小腹を立たせて食い下がった。
しかし銀狼には響かない。
「そのような相手などいるものか。…私が生きた齢 二千年、…ただのひとりとして」
「…っ…、今はわたしがいるじゃない!! 」
「──…?」
だが──…この時、彼の足が初めて止まった。
それは驚きとは違う…強いて言うなら違和感、か。
セレナの言葉を反芻するも、雲を掴むかのようにしっくりこない。
銀狼は数秒の間を置いて、腕の中のセレナを見下ろした。