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銀狼
第2章 禁断の森
外では相変わらず、男達が暴れる馬に手こずっていた。
“ どこか隠れる場所…っ ”
街まで続く道は見晴らしがよく、隠れられるような場所が無い。
セレナは仕方無く森に入った。
「あ! 畜生、馬が逃げやがった…っ」
その間に手綱を振り切って馬が逃げていく。
悪態をついた拍子に振り返ったひとりが、逃げるセレナの後ろ姿を目にして信じられないとばかりに叫んだ。
「おい!? 女も逃げてるぞ!」
「…っんだと!? 」
「──…!! 」
気付かれた。
青ざめたセレナは、振り向く勇気などなく飛び跳ねるように走り出した。
男達は馬を諦めセレナを追い始める。
彼女の後を追って森の中に入ろうとした。
──彼等は、もっと深く考えるべきだったのだ
「……ん? おい…ッッ」
「何だ…!? あの獣…!! 」
何故、この道を誰ひとりとして通らないのか。
何故、山小屋の住人は
家を捨てこの地を離れたのか──。
「狼だあああ!!!」
それが、逃げるセレナが聞いた彼等の断末魔の叫びであった───。