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銀狼
第2章 禁断の森
「馬どもが興奮してるな」
「何だぁ?あいつらどうした」
外に繋がれた馬達の様子がおかしい…。
何かに怯えたようにけたたましく鳴いている。
男達はセレナの首輪から伸びるロープを中央の柱にきつく括り付け、彼女が逃げられないようにした後で、馬をなだめに外へ出た。
セレナは小屋でひとりになる。
「…何の、騒ぎ…?」
まさかお父様が助けに…?
いや、それはあまりに早すぎる。けれど
──いずれにしても、これが奴等から逃げるための絶好のチャンスであることに変わりない。
“ 今なら誰もいない。今なら……!! ”
セレナはドレスの中に手を入れた。
もしもの為に持っておけと父親に言われていた護身用の短剣。
脚に忍ばせていたそれを彼女は取り出した。
柱に結ばれたロープを解くのは困難であったため、短剣で切り落とすことにしたのだ。
“ …お願い…速く…!! ”
やはり容易には切れないロープに刃を立てて、焦る彼女の額に汗が滲む。
手元が震える。
指に力が入ってくれない。
お願いだから……!!
「…ッ…切った」
何とかロープを切り終わり、連中が戻る前にセレナは急いで小屋を出た。