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銀狼
第10章 討伐


...コンコン


執務室の扉をノックする音。


「……!!…入りなさい…っ」


椅子に座っていたセレナの父親──アルフォード侯爵は、入ってきた部下を立ち上がって迎えた。



「セレナは…っ…見つかったのか…!? 」

「いえお嬢様はまだ…──っ。ご報告です。お嬢様を捜索していた二番隊の兵士三名が…!」


アルフォード侯の前で敬礼し、話し始めたのは、まだ黒い隊服が初々しい…セレナよりも若い茶髪の青年であった。


「…狼に襲われ、殉職いたしました」

「──…!」


アルフォード侯は、前屈みになっていた身体を椅子に戻した。

机に片肘をついて額に手をやる。


「何と言う事だ…!! 」


セレナが賊に拐われたあの日から、もう十日が過ぎている。

未だ娘の手掛かりは掴めず、そんな状況で後を追う新たな悲報に、彼はひとりの父親として…そして上官として、激しい憤りの中にいた。



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