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銀狼
第10章 討伐
「…ですが長官殿、新しい手掛かりがあります」
上官の様子を心配しながら、若いその部下は彼に報告書を渡した。
「兵士は森の中で発見されました。そして、遺体のそばのえぐられた大木にこれが……」
続けざまに提出したのは、長い動物の毛──。
「これは何だ…!? 」
それは一見白くも見えるが、光を反射させるとキラリと鋭く輝く。
…銀色の毛だった。
しかもかなりの長さだ。
それは持ち主の類い希な大きさを示している…。
「これが本当に動物の毛なのか」
そこまで言って、侯爵はある事を思い出した。
それは自分がまだ子供だった時に聞かされた話。
ラインハルトの森に棲み付くと言い伝えられる伝説の生き物。
──…銀狼、という化け物を。