この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
銀狼
第10章 討伐
「狼を野放しにするとは即ち…──苦しむ街の人々を見棄てるという事だ」
そんな事はできない。
その為に、我が命を危険に晒す覚悟もできている。
「──隊を止めて悪かった!今となっては日も折り返し…早くしなければ夜になると分が悪い。急いで捜索を続ける──セレナの来た道をたどれ!」
長官の掛け声に従い列は進む。
その向きをセレナが現れた方向に変え…何事もなかったかのように捜索を再開する。
猟犬がセレナの匂いを覚えたのか、地面に鼻を付けながら隊を先導し始めた。
──叫ぶ彼女の声は無視された。
制止の声に耳を貸す者はいなかった。
兵達にも…とっくに覚悟はできていたのだ。
それぞれの家で彼等の帰りを待っている
愛する者を守るために───。
───…