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銀狼
第11章 儚き運命
考え無しに入り込めば二度と出てこられぬ迷いの森で、道を見失わないように作られた目印。
一定の間隔をおいて切り倒された樹木を頼りに、彼等は帰る。
「……ハァ…っ」
「セレナ様……もうお疲れでしょう、馬に乗ってください」
二人の部下のうちの、茶色い髪色の優しげな青年がそう声をかけた。それに対して──
「いい加減諦めてください。俺達だって本当は…早くあなたを送り届けて皆と合流しないといけないのに…!」
少し後ろで馬の手綱を引く、もうひとりの黒髪短髪の青年は、憎々しげに彼女を睨んでる。
自分だけが戦力から外された
俺だって少しは戦力になる筈なのに…と、不満の思いを禁じ得ない。
「お前…っ、そんな言い方はやめろよ」
「…だってそうだろ。これは遊びじゃない、みんな命をかけて来ているんだ。なのにセレナ様はこんな子供みたいに駄々をこねて……」
「……っ」
「……正直、不愉快なんだよ」
最後の一言は小さかったがセレナの耳に辛うじて届いた。
セレナは鋭い目をその青年に向ける。