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銀狼
第11章 儚き運命
「セレナ様だって、僕達のことを心配して止めようとしているんだよ」
「──それが不愉快だって言ってんだ」
ひとりがセレナを庇い慌てて擁護するも、黒髪の青年は遠慮しない。
「俺達の覚悟はそんな軽くない。死ぬのが怖くて、狼討伐に志願するわけないじゃないか」
「討伐、討伐って…!! あなたたち狂ってるわ!」
セレナは立ち止まり後ろに振り返った。
「……何がッ…討伐…!! 」
「…なっ…」
「こんなのただの殺しあいよ……」
殺し合いなんて、無い方がいい
そうに決まっている。
" 討伐 " なんて…人間の立場でつくりだした身勝手な言い分でしかない。
「狼にだって…生きる権利はある筈よ…」
怒る権利も、嘆く権利も人間だけの物ではない。
狼にだって…獣にだってある筈だ。