この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
銀狼
第3章 銀狼

目を閉じると視覚以外の感覚が研ぎ澄まされ
洞穴の暗闇の中──水音も鼓膜に響いてくる。
しかもそれは雫の音というより、川を彷彿させるような水の流れる音だった。
セレナは壁に手を付き水音を追って歩いた。
ガサッ
“ ……あっ……これ、…蔓? ”
壁づたいに歩いていくとセレナの手に植物の蔓( ツル )が触れる。
一見、行き止まりに見えるそこは、どうやら植物の蔓に覆われているらしい。
そこだけが不自然に茂っているから奇妙に思えて立ち止まったセレナ。
…彼女は、摩訶不思議な現象に出会う。
「……え?…水音が…」
この奥から聞こえてくる…。
壁である筈のその場所から、水音と…確かに風を感じるのだ。
それ等はまるで、此方に漏れぬように蔓によって蓋をして守られているような──。
勘を働かせたセレナは、茂る蔓におそるおそる腕を入れた。

