この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
銀狼
第11章 儚き運命
それが、結局…──
「……此処へ来い、セレナ」
ローは彼女に片手を差し出す。
セレナは走り出した。
兵士達を押しのけ、彼の立つ岩場に向かって駆け出した。
「…!! …セレナ様!…危ないっ…!」
「戻りなさいセレナ!」
兵士や父親の制止を無視して、セレナは彼のもとに向かった。
「…ハァ…ハァ…ッ…ロー…!! 」
差し出された白く美しい指先に彼女が自分の手を重ねると
ローはその手を掴み力強く引き寄せる──。
「…っ…ロー…!! 」
「……」
「…わたしのせいで…こんな、事に…!! 」
「…ふっ…確かにお前のせいだ」
銃弾を浴び血を流す腕でセレナを包み込んだ。
「だが…お前ごときが私を滅ぼしたつもりになるようでは、困る」
「でも…──ッ」
「お前はただ、滅びの時を伝えに来たにすぎない」
伝えに来た挙げ句の果てに
我等を想って涙を流した…
…それがお前だ。
「……案ずるな」
天は御存じだったのだ。
私が人間に情を抱いた時…──
此れすなわち、我等の破滅を導くと。
「……ッ? 」
「此処から先は──総てが運命( サダメ )」
このシナリオの結末は
神のみぞが決めた事──。