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銀狼
第11章 儚き運命



それが、結局…──



「……此処へ来い、セレナ」


ローは彼女に片手を差し出す。

セレナは走り出した。

兵士達を押しのけ、彼の立つ岩場に向かって駆け出した。


「…!! …セレナ様!…危ないっ…!」

「戻りなさいセレナ!」


兵士や父親の制止を無視して、セレナは彼のもとに向かった。


「…ハァ…ハァ…ッ…ロー…!! 」


差し出された白く美しい指先に彼女が自分の手を重ねると

ローはその手を掴み力強く引き寄せる──。






「…っ…ロー…!! 」


「……」


「…わたしのせいで…こんな、事に…!! 」


「…ふっ…確かにお前のせいだ」



銃弾を浴び血を流す腕でセレナを包み込んだ。



「だが…お前ごときが私を滅ぼしたつもりになるようでは、困る」


「でも…──ッ」


「お前はただ、滅びの時を伝えに来たにすぎない」




伝えに来た挙げ句の果てに

我等を想って涙を流した…

…それがお前だ。




「……案ずるな」




天は御存じだったのだ。

私が人間に情を抱いた時…──

此れすなわち、我等の破滅を導くと。




「……ッ? 」


「此処から先は──総てが運命( サダメ )」




このシナリオの結末は

神のみぞが決めた事──。







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