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銀狼
第11章 儚き運命
『 何故お前は此処に来た…… 』
純潔を奪われたあの夜の
彼の言葉がよみがえる。
「ならわたしのせいで…!! 」
天よりローに告げられた、残酷な預言。
" 人 " が誰を指し示しているのかは明白だ。
『 お前が泣くのか…。ふっ…おかしな事だな 』
わたしが…此処に来たから。
此処に足を……
踏み入れたから…っ。
「ロー……!! 」
あなたは全てを知っていたの?
こうなることも、全部…。
「…セレナ」
動揺する彼女を、ローは真っ直ぐな瞳で見つめた。
──…もし預言の者が現れたならば、その場で八つ裂きにする。
我等の聖地に足を踏み入れるような輩は生かしてはおけない。
…その筈であった。
だがどうしたことか
我等にとって死神である筈のその預言の人間は
か細く、可憐な、見るからに弱々しい…、震えるだけの娘だった。
私は憤りを覚え、同時に興味を持った。
こんな女が…──
私に滅びを与えにきたのか。
これから我等を襲う終焉を
この娘がもたらすのか……と。