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銀狼
第11章 儚き運命
「‥ッ‥!! ‥苦しっ‥イ」
首を掴まれ苦しげに呻いた彼女を、ローが構うことなく宙に持ち上げる。
「──セレナ!!」
蒼白となって叫んだ侯爵を彼は嘲笑った。
「…我等はただ…捕食をしたまでだ人間共よ」
「……!?」
「何を咎めることがある?…それとも貴様等の真似事でもしろと言うのか。喰らう前に手元において、大切に飼い慣らせ…と?」
「…な…っ…!! 」
「──…この女にしてやったように」
ギラリと牙をちらつかせ
馬鹿にした口調で話すこの男に
「──…!!」
兵達は怒りで肩を震わす。
───
「──…ふざけるな」
ひとりが口を開いた。
「……ッ…」
セレナは何とか声を出そうとするも、首に巻きつく指がそれを許さない。
「…この…化け物め…!! 」
違う……やめて…──ッ
「弟の仇だ…ッ…殺してやる…」
こんなの……嫌よ…!!
ガチャ...
殺気を取り戻した銃口が
再びローに向けられる。
「…ケホッ……イヤだ…っ…!! …止まっ て……ッ」
セレナの弱々しく無力な声は
「……」
ただひとり、ローにだけ届いていた──。