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銀狼
第12章 epilogue
洞窟を抜けた先にある物…
それは一見、あの時と全く変わりない。
......
変わったとすれば、踏みしめる者がいなくなったことで背丈の僅かに伸びた草花だろうか。
あれからの一年
此処で起きた惨劇など忘れてしまったかのように続く自然の営みと巡る四季は、実に無情なものであった。
セレナは静かにその光景を抜け歩く。
歴史を感じる古びた祭壇…その手前の岩場の上に、跪いた彼女は手にした花をそっと置いた。
美しい百合の花──
山吹色の花粉の粒が、彼女の指に零れ散る。