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銀狼
第12章 epilogue
───
森の中の獣道を白い馬が歩いている。
その背に股がり手綱を操る女性はセレナであった。
月明かりが届かないほど密生した木々──。
だが彼女の胸にさげられたペンダントが、いつまでも辺りを優しく照らしていた。
…昼に街を発ってから随分と長い時間をかけたものだ。
「……少しだけここで待っていて」
白馬の背を降りた彼女は、手綱を樹木の幹に括り付けてその場を離れた。
そしてセレナは洞窟へと姿を隠す。
入り口は相変わらず小さくて
新たに伸びた蔓が、蓋をするように穴を隠し始めていた。