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銀狼
第12章 epilogue
《 ……月になど居るものか 》
「──…」
そうして和らいだ心の隙間に、低く艶のある声が入り込んでくるのだ。
その声はセレナの頭に直接響いてくる。まるで…
すぐ傍らにいるかのように。
──彼がセレナに残した物は二つあった。
ひとつは、彼女の胸元で輝く紺青の宝石。
それは単なるペンダントではなく、此の森を治め支配する " 王 " の証。
身に付ける者に森の忠誠と加護を与える神秘の魔石である。
…だが彼女に残されていたのはそれだけではなかったのだった。