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銀狼
第12章 epilogue

──もうひとつ、それは彼の名。
「不思議よね……」
言葉にはならない、文字では表せない。
ただ…感じる。
満ちた月が上空に君臨する此の聖地で、こうして思いを馳せていると…
いっそう輝きを増す胸の宝石から彼の名前が溢れてくる。
『 我等にとって " 名 " とは、" 存在 " の象徴──。其処に在る事を示す物 』
『 …名さえ知れば、其の者の全てを支配する事が可能だ 』
泡沫( ウタカタ )の日々が瞼の裏に滲んでいく──。
其処で話す嘗ての彼の言葉を、セレナは懐かしんだ。

