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銀狼
第3章 銀狼
屋敷にいる小間使い達から聞いた事がある。
銀狼という、狼を統べる恐ろしい化け物──。
今自分が見ているのが、その生き物だとでもいうのだろうか。
おとぎ話としか思えないような話。
聞いた自分も信じてなんていなかった。
でも
「……っ」
もし、もしそうなら──
“ あの噂も、……本当なの? ”
──セレナの予感を合図にしたかのように
ググッ・・・・・
銀狼の身体に変化が起き始める。
....
頭を垂れ、背中が曲がり、銀色の毛皮が徐々に黒毛に変わっていく──。
小さく丸まったかと思えば、黒くなった毛皮がいつの間にか風に翻るマントになっていた。
震えるセレナが見つめる中で
" 獣 " ではなくなった銀狼の、色白の顔がマントの陰から現れる。