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銀狼
第4章 月夜の陵辱
「──…」
涙──
それは…
「……痛み故の涙か」
「……ッ…ふ ぐっ…」
最奥まで貫いたところで男の動きは止まった。
嗚咽を漏らすセレナを見下ろし、首を横に傾ける。
「…こんな の……酷いわ……!! 」
「……」
こんな辱しめを受けるなんて…
「……もう…ッ……死んで…しまいたい」
啜り泣く音の中に、そんな言葉が混じる。
《 死んでしまいたい 》
「……?」
それを聞いた銀狼は彼女の両手首を離した。
情味のない顔で涙の粒を眺める。まるで──その真意を測っているかのように。
「なるほどお前たち人間は……、自ら命を捨てたがる珍しい生き物だったな……」
手を解放されたセレナは涙で濡れたその顔を隠した。
何の言葉も返せずただ泣き続けるその姿からは貴族の威厳は無いに等しい。
だが泣き顔を見られまいとするこの行動は、紛れもなく彼女のプライドからだ。