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銀狼
第5章 逃走
意識を取り戻した彼女の耳に届いたのは、滝の音。
思えばセレナを此の場所へ導いたのも同じ音だ。
「……っ」
敷かれた毛皮の上に丸まる彼女は、清らかな自然の声にさえ憎悪の気持ちを隠せない。
今の彼女は何も身に付けていなかった。
この状況は昨夜の恐ろしい悪夢が──夢などではなかったことを、セレナに突き付ける。
全身が鉛のように重たい。
突かれ続けた秘部が、ヒリヒリと痛む。
そして喉も痛いのは
酷く喘ぎ続けたからだろう──。
無情にも奪われた純潔。
粉々になるまで徹底的に砕かれたプライド。
「どうして……ッ…こんな……」
セレナは暫く起き上がる事もできずに、ただ小さく丸まって、悔しさと悲しみに身を震わせていた。