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銀狼
第5章 逃走
そういえば…
あの男がいない。
あの男、いや、恐ろしい化け物が。
美しい顔を不敵に歪ませて、自分を見下ろすあの冷酷な笑みを思い出すだけで、背筋が凍る。
「…逃げ…ないと…」
セレナは彼から逃げなければならない。
このまま此処にいれば喰われるだけではすまされない。
いやむしろ、今、こうして食べられずに生きていることが不思議なくらいなのに。
“ …あなたはまだ……わたしを侮辱し足りないと言うのね…… ”
羞恥の陵辱と
淫らな自分──
セレナには、もう堪えられるものではなかった。