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銀狼
第5章 逃走
「…銀狼…っ」
何処かに出掛けていたのだろうか。
出口の洞窟、その暗闇から銀狼の姿が現れる。
道を譲る狼達の間を縫い彼はセレナの目の前に足を運んだ。
「逃げようとは、愚かな事をしたものだ」
「……ッ」
俯く彼女は脚を折り曲げて自らの身体を隠す。
そんなセレナの無様な姿を銀狼がフッと嘲笑った。
「……泥だらけだな」
布にくるんだ荷物を片手に持つ銀狼は、空いている方の手をセレナに差し出す。
「…いや!」
しかしセレナはその手を拒絶し、身体を丸めて縮こまった。