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銀狼
第6章 獣の愛
女性用の衣服が現れ、セレナの腕におさまった。
そのドレスは貴族の服ほど高価な物ではなかったが、庶民服の中では十分に上等な布で織られている。
──ご丁寧に、彼女がもともと着ていた物と同じ菖蒲( ショウブ)色。
「どうしてあの男がこれを……」
何も身につけず ずぶ濡れのセレナは、それを胸でしっかりと抱いた後──着る物まで濡らしては意味がないと慌てて離した。
銀狼によって破かれたドレスの残骸はまだ祭壇の手前に残されたままだ。
自分で破いておいて…
“ 何のつもりよ、あの化け物 ”
はっきり言って、拍子抜けだ。
彼は見た目こそ人だが
その本性は残虐な獣なのだ。
…こんな真似をされたら、勘違いをしてしまう。