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銀狼
第6章 獣の愛
彼女が声をあげるのより早く
目の前の影から伸びた手が、足元の仔狼を鷲掴む。
「あッ──!! 」
そして勢いよく横に投げ飛ばされたその狼はキャンという鳴き声と共に地面に叩き付けられた。
クゥン…
身体が小ぶりな分、落ちた衝撃も小さいと思われるが…。
仔狼は痛そうに地面にうずくまった。
「何てことするの…!? 」
立ち上がったセレナ。
投げた男の前を横切って飛ばされた狼のもとへ駆け寄ろうとする。
「──っ!! 」
だがそれも叶わず、振り返ったその男にいとも容易く抱きかかえられて
彼女を捕らえた男は有無を言わせぬ早さで飛び上がった。
──彼の銀髪が聖地上空に弧を描いてなびく。
そして彼は自身の寝床である洞穴に着地し、奥に進んでセレナを毛皮の上に転がした。