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銀狼
第6章 獣の愛
「…あなたが…!! 何を考えてるのか…ッ わたしにはさっぱり分からない…!! 」
「……」
「何がしたいの!? 」
あなたの目的は何──?
「わたしをどうしたいのよ!? 」
セレナは混乱していた。
辱しめを受けた男に、捨てた筈の命を救われ、着る物と食べ物を与えられた。
かと思えばこうやって…お前はただの獲物だと言い放たれる。
“ 苦しい…… ”
こんなに苦しいのは初めてだった。
彼女自身、何に苦しんでいるのかも分からない。ただとにかく苦しかった。
今日一日──悩み過ぎてどうにかなってしまいそうだ。
逃げることも死ぬことすらも、彼女はできなかったのだ。
突然に突き落とされた異世界で
もう…何に絶望すればいいのかも定かでない。