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二重生活
第22章 The Giving Tree
あれは、何歳ぐらいの頃だろう。
母が読んでくれた絵本のことを思い出していた。




仲良しだった、子供とりんごの木。

木はうれしかった。

しかし、子供は次第に木に会いに来なくなった。

大人になった子供は、お金を手に入れるために果実をとりつくし、家を建てるために枝を切り払い、船を造るために幹を切り倒して持ち去っていく。

木は、与え続ける。

「きは それで うれしかった・・・ 

だけど それは ほんとかな」




すべてを与え尽くした木。

老人になった子供が、切り株になった木の上に、静かに腰かける場面で終わる物語。



「すまないねぇ、ぼうや。わたしにはなんにもない、あげるものはなんにもない。りんごもないし」


老人になった子供は言う。
「わしはいまたいしてほしいものはない。すわってやすむ、しずかなばしょがありさえすれば」
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