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華のしずく~あなた色に染められて~
第27章 【月華~月姫-TSUKIHI-~華のしずく~】 幻の蝶
「奥方様が顔をお見せするようにと仰せじゃ」
その声に、月姫は初めて顔を上げ、真っすぐに前方を見つめた。
「ホウ、そなた、南蛮人と聞いてはおったが、見たこともない眼の色、髪の色をしておるのう」
月姫の眼に、一人の美しい女人が映った。豊かな黒髪は背中をすべり、腰まで届いている。緑色の打ち掛けには紅の桜の花びらが一面に散っており、定子の白い肌にはよく映えていた。柳のような眉、典雅な美貌は緋毛氈(ひもうせん)の上の女雛のようである。
その声に、月姫は初めて顔を上げ、真っすぐに前方を見つめた。
「ホウ、そなた、南蛮人と聞いてはおったが、見たこともない眼の色、髪の色をしておるのう」
月姫の眼に、一人の美しい女人が映った。豊かな黒髪は背中をすべり、腰まで届いている。緑色の打ち掛けには紅の桜の花びらが一面に散っており、定子の白い肌にはよく映えていた。柳のような眉、典雅な美貌は緋毛氈(ひもうせん)の上の女雛のようである。