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華のしずく~あなた色に染められて~
第27章 【月華~月姫-TSUKIHI-~華のしずく~】 幻の蝶
「殿の気紛れにも全く困ったものよ」
 吐き捨てるように言い、定子は突如として立ち上がった。後を振り向きもせずに立ち去ってゆく。再び襖がするすると外側から開き、定子はその向こうへと姿を消した。
 月姫は所在なげにうつむいた。飾ってある雛人形までが冷たく取り澄ました表情で月姫をはるか高みから眺め下ろしているように見えてならなかった。
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