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華のしずく~あなた色に染められて~
第27章 【月華~月姫-TSUKIHI-~華のしずく~】 幻の蝶
「あれは定子が嫁いで参りし折、持参した雛人形よ。何でも、定子の母御が京より入輿した際、嫁入り道具として持ってこられたのを譲り受けたそうだ」
「さようでございますか」
 秀信の言葉に、月姫は頷いた。道理で、雅やかな雛人形であるはずだった。
「何か言われたのではないか」
 秀信がふいに仰向けになり、片手で月姫を引き寄せる。その身体に頭をそっと持たせかけて、月姫は首を小さく振った。
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