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華のしずく~あなた色に染められて~
第27章 【月華~月姫-TSUKIHI-~華のしずく~】 幻の蝶
―殿。
 千手丸を膝の上に乗せて館までの道を輿に揺られながら、月姫は涙を流した。秀信と離れるのは身を裂かれるように辛かったけれど、月姫には彼の苦衷がよく判った。秀信と離れて暮らすことでしか、月姫と幼い千手丸を守ることができないと、秀信は判断したのだ。
 また、月姫と千手丸を城から出すことで、定子の妬心もいささかはやわらぐはずであった。
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