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華のしずく~あなた色に染められて~
第27章 【月華~月姫-TSUKIHI-~華のしずく~】 幻の蝶

老医師は解毒の効用のあるという薬を処方して帰っていった。今なら、これを服用すれば、死に至ることもなく、ひと月ほどの中には元どおりの健康を取り戻せるはずだという。しかし、もし万が一、発見が遅れていれば―、幼い千手丸の生命は数日ほどで消えていたはずだと医師は語った。定子が千手丸に含ませていた毒は、それほどの怖ろしい毒であった。
「そうか、ならば良かった」
秀信は漸く愁眉を開いた様子である。
「そうか、ならば良かった」
秀信は漸く愁眉を開いた様子である。

