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華のしずく~あなた色に染められて~
第29章 【剣(KEN)~華のしずく~】 決意
「何で!」
必死な様子で言う浅太に、龍伍は暗い眼で言った。
「おそのを殺した気違い殿様は、今日もまた町へ出て獲物になる娘を物色するに違(ちげ)えねえ。俺は、そんな殺人鬼を野放しにしておくお上の気が知れねえのよ。たとえ天下の直参旗本であろうが、何であろうが、人殺しは人殺しじゃねえか。ましてや、その殿様は既にもう何人もの娘を手にかけてやがる。俺ら町人はあいつら侍の前では、そこまで無力でなきゃならねえのか? 足蹴にされても這い蹲(つくば)って我慢しなきゃならねえというのか?」
必死な様子で言う浅太に、龍伍は暗い眼で言った。
「おそのを殺した気違い殿様は、今日もまた町へ出て獲物になる娘を物色するに違(ちげ)えねえ。俺は、そんな殺人鬼を野放しにしておくお上の気が知れねえのよ。たとえ天下の直参旗本であろうが、何であろうが、人殺しは人殺しじゃねえか。ましてや、その殿様は既にもう何人もの娘を手にかけてやがる。俺ら町人はあいつら侍の前では、そこまで無力でなきゃならねえのか? 足蹴にされても這い蹲(つくば)って我慢しなきゃならねえというのか?」