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華のしずく~あなた色に染められて~
第6章 雪の華~華のしずく~
―ここが朱雀の国。
徳姫は唇を噛みしめたまま、ゆっくりと輿から降りたった。初々しい十七歳の花嫁御寮を乗せた輿は城の奥御殿の庭まで担ぎ込まれていたのだ。
徳姫は改めて周囲の景色をゆるりと見回す。慣れ親しんだ青龍の城と異なり、これから徳姫が暮らすはずの朱雀の城は、いかにも平城らしい穏やかな佇まいを見せていた。だが、そんなことも姫にとっては、自分が育ったふるさとからはるかに離れた異郷へと来たのだという想いを募らせる。