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華のしずく~あなた色に染められて~
第6章 雪の華~華のしずく~
が、そこは十七歳のうら若い娘のこと、しかも故郷を遠く離れての嫁入りに淋しさや心細さは極限状態にまで達していた。懸命に泣くまいと唇を噛んだがために、口中に鉄錆びた血の味がひろがるのも余計に哀しくやるせなく、徳姫は慄える声で柏木に言った。
「義父(ちち)上さまは、信晴さまにお逢いしたれば、ただにこやかに致せと、要らざることは何も考えず、ただ信晴さまをお慕いする心を持ちてお接し申し上げるようにと仰せられたが」