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華のしずく~あなた色に染められて~
第6章 雪の華~華のしずく~
それに、あの孤独な眼をした、まるで手負いの獣のような傷ついた瞳を持つ信晴を窮地に追い込むようなことだけはしたくなかった。
「姫さま」
柏木は辛うじて次の台詞を呑み込んだ。徳姫は恋をしている。それも、良人となったばかりの、冷淡極まりなき男に!! 恐らく、信晴の暗い淵のような眼にこそ、徳姫はひとめで魅かれてしまったのだろう。しかし、それを愚かなことだとは言えない。いつ、どこで、理由(わけ)やきっかけなど関係なく落ちてしまうもの、それが恋というものだからだ。
「姫さま」
柏木は辛うじて次の台詞を呑み込んだ。徳姫は恋をしている。それも、良人となったばかりの、冷淡極まりなき男に!! 恐らく、信晴の暗い淵のような眼にこそ、徳姫はひとめで魅かれてしまったのだろう。しかし、それを愚かなことだとは言えない。いつ、どこで、理由(わけ)やきっかけなど関係なく落ちてしまうもの、それが恋というものだからだ。