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華のしずく~あなた色に染められて~
第6章 雪の華~華のしずく~
「それに」
徳姫は口ごもりながらも、言った。
「あの方―、信晴さまは哀しい眼をしておられた」
冷淡だけれども、孤独の陰を濃く宿した瞳、あの印象的な眼を、徳姫は忘れることができなかった。もし徳姫を粗略に扱っていることが秀吉に知れれば、秀吉は激怒し、青龍の国と朱雀の国との間に折角ここ二十年間ほど保たれてきた平和が乱されてしまうことにもなりかねない。それだけは避けねばならないと、徳姫は一途に思い込んでいた。