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華のしずく~あなた色に染められて~
第9章 【蜩(ひぐらし)~華のしずく~】
 おふうにとって、楓はいつも能面のように無表情で、けして喜怒哀楽を表さない人、つまり怖い人という印象が強かった。何か粗相でもしでかせば、千鳥のように笑って見逃してくれるのではなく、たちまち大声で叱責されそうな気がする。その楓を探しにゆくのは正直気が進まなかったけれど、他ならぬ千鳥の頼みである。だが、おふうは途中で迷ってしまい、泣きながら広い城内をさまようことになってしまった。
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