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華のしずく~あなた色に染められて~
第9章 【蜩(ひぐらし)~華のしずく~】
 珠子の方が楓に言い聞かせるように言う。
「お方さま、私はいつまでもお方さまとご一緒にと既に心を決めておりますれば」
 楓は珠子の方に懸命に言った。と、ふいに珠子の方がおふうを見た。
「されば、楓。これは私よりの頼みじゃ。どうか、この子を安全な場所まで無事に連れていって欲しい」
「お方さま!」
 楓が何か言いかけるのに、珠子の方はゆっくりと首を振った。
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