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華のしずく~あなた色に染められて~
第9章 【蜩(ひぐらし)~華のしずく~】
「達者での、楓の申すことをよくきいて、良い子におなりなされ」
楓が珠子の方より賜った飾り櫛を押し頂くようにして懐の中へ大切そうにしまった。
「これよりひとまず部屋へたち戻り、事の次第を千鳥にも話して共にゆくが良い」
珠子の方の言葉に、楓は深く頷いた。
「お方さまもどうかご無事で」
「そなたのことは忘れませぬ」
珠子の方と楓はしばし見つめ合った。そこには、おふうなどの窺い知れぬ感情の通い合いがあるようだった。
楓が珠子の方より賜った飾り櫛を押し頂くようにして懐の中へ大切そうにしまった。
「これよりひとまず部屋へたち戻り、事の次第を千鳥にも話して共にゆくが良い」
珠子の方の言葉に、楓は深く頷いた。
「お方さまもどうかご無事で」
「そなたのことは忘れませぬ」
珠子の方と楓はしばし見つめ合った。そこには、おふうなどの窺い知れぬ感情の通い合いがあるようだった。