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華のしずく~あなた色に染められて~
第14章 【残菊~華のしずく~】二
 だが、五喜の眼はその大輪の菊ではなく、少し離れた場所にひっそりと咲く小菊に向けられていた。白い小さな菊は互いに身を寄り添わせるようにひそやかに慎ましく咲いている。その姿は、どこか可憐な五喜を彷彿とさせる。小菊の健気な姿に、五喜は思わず微笑んだ。
 その時、背後から聞き覚えのある声が追いかけてきた。
「五喜殿」
「時治様?」
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